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【GPT机翻】战国小町苦劳谭 (戦国小町苦労譚)- 164 [千五百七十七年 六月上旬]|全球观焦点

  • 2023-05-27 23:50:23 来源:哔哩哔哩

书名 战国小町苦劳谭


(资料图)

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作者: 夹竹桃

原作:http://ncode.syosetu.com/n8406bm/

翻译工具:ChatGPT

*机器输出的翻译结果UP未做任何修正,仅供试阅。标题章节号为原翻译版的顺延。*

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千五百七十七年 六月上旬(*原文网页序列号 - 188)

遠藤(えんどう)基信(もとのぶ)にとって信長との会談は白昼夢のようであった。まるで地に足が着いておらず、夢心地のままに彼は信長直筆の約定書を手に帰途に就いている。

对于远藤基信来说,与信长的会谈就像是白天做的梦。他感觉自己没有脚踏实地,一边迷迷糊糊地拿着信长亲笔签署的协议书回家了。

事前に得ていた情報では信長と謁見すること自体が難しく、仮に機会を与えられたとしても不興を買えば中座されることもあるという話であった。

事先得到的信息表明与信长会面本身就很困难,即使有机会也可能会因为引起不满而中途离开。

しかし、基信に至っては昼餐(ちゅうさん)をともにするという破格の厚遇を受けてすらいた。まさに『瓢箪(ひょうたん)から駒(こま)』であったのだろう。

然而,基信甚至得到了与他共进午餐的非同寻常的优待。这确实是“得到了好处而不得其因”的情况。

(これが尾張……これが天下人の暮らし……そしてその全てを統べる織田様なのか)

(这就是尾张……这就是天下人的生活……以及掌控这一切的织田大人吗)

信長と会食をするという機会に恵まれた基信は、日ノ本の常識から隔絶した信長と尾張の在り様に畏怖を抱いた。

在与信长共进晚餐的机会中,基信感到敬畏,因为信长和尾张地区的情况脱离了日本的常规。

極度の緊張下にあった基信は、供された食事の味など感じる余裕すら無かった。

基信处于极度紧张的状态,甚至没有感受到提供的食物的味道。

それでも調度一つ、食器や什器に至るまでの全てが高度に研ぎ澄まされたものであることが感じられた。基信は神経を張り詰め、信長や同席していた静子に倣って食事を取ることに腐心し、醜態を晒さないようにすることで精一杯であった。

即便如此,从餐具到器具,所有物品都经过高度精磨,可以感到完美的细节。基信紧张不安,努力和信长以及同席的静子一起用餐,竭尽全力避免出现丑态。

恐らくは当代一流の料理が供されていたのだろうが、味はおろか香りや色あいですら曖昧(あいまい)模糊(もこ)としており記憶に残っていない。

恐怕当时提供的是一流的菜肴,但味道、香味和颜色都不清晰,甚至无法记忆。

「誰もが羨(うらや)むような豪華な一席だったが……わしは二度と御免被(こうむ)る。あれならば面を伏して意見を申せる謁見の方が心やすらかでいられよう」

“虽然那是一个让每个人都羡慕的豪华席,但我再也不想参加了。如果我面向下方表达我的看法,像朝见那样,那我的内心会更加安宁。”

信長は警護の兵はおろか、小姓すら伴っておらずに無防備であった。そんな彼に刃を向けられるかと問われれば否である。

信长没有任何警卫,甚至没有随从,非常无防备。如果问是否会有人指向他的刀剑,那么是否定的。

基信から見た信長は近寄りがたい程の威光を纏っており、敵意を抱いた瞬間に己の首と胴が離れているであろう事は想像に難くない。

据基信描述,信长身上散发着不可接近的威仪,一旦产生敌意,想必立刻会失去头颅和躯体,这一点想象起来都难以想象。

「ともあれ、何とかお役目は果たせた。問題は、人質か……」

“无论如何,任务总算是完成了。问题是,人质呢……”

そう呟いた基信は大きなため息を吐いた。彼が手にした約定書には、伊達家が恭順の証として人質を差し出すことが明記されている。

“基信嘀咕着,叹了口气。他手中的协议书清楚地写着,伊达家必须交出人质作为顺从的证明。”

順当にいけば人質として差し出すのは嫡子である梵天丸(ぼんてんまる)(後の伊達政宗)となるのだが、元服したばかりで伊達(だて)藤次郎(とうじろう)政宗(まさむね)と名を改めた彼には性格に少々難があった。

顺利的话,作为人质交出去的将会是正统继承人梵天丸(后来的伊达政宗),但他刚刚成年礼并改名为伊达藤次郎政宗,性格有些问题。

「心根は真っすぐなのだが……しかし、危うい……」

“心根是笔直的,但是危险……”

政宗の性格は竹を割ったように素直であり、少々向こう見ずなところはあるものの概ね問題ない。しかし、人質として他家に預けるにあたって致命的な問題があった。

政宗的个性非常坦率,就像劈竹子一样直率。虽然有些鲁莽,但总体上没有太大问题。然而,将他作为人质交给他人家庭时,存在致命性问题。

それは素直さ故か、思ったことを直ぐに口に出してしまうことである。伊達家の内部であれば何ら問題ないのだが、信長や静子に対して失言をしてしまえば外交問題となってしまうのだ。

这是因为他的坦率,会立即把想法说出口。在伊达家的内部没有问题,但如果对信长和静子失言就会成为外交问题。

他の候補として次男である小次郎を差し出すという方法も無いではないのだが、長男である政宗が病を得て隻眼になって以降、実母の義姫は弟の小次郎のみを可愛がるようになっているため難しい。

作为其他候选人,可以考虑提出二儿子小次郎,但是自长男政宗得病成为独眼后,母亲义姬开始喜欢弟弟小次郎,因此情况变得很困难。

「いずれにせよ、まずは殿にご報告した上で勘案せねば」

无论如何,首先应该向殿下报告并加以考虑。

自分一人では結論が出ないと判断した基信は、一路奥羽(おうう)を目指して帰路を急いだ。

判断不能独自得出结论的基信,匆匆返回了奥羽地区。

伊達家の一件が片付いた静子は、一軍を率いて上洛し京屋敷へと身を落ちつけていた。静子が尾張に籠っていると、如何に朝廷の使者といえど彼女と接触するのは容易ではない。

处理完伊达家事件后,静子率领一军前往京都的宅邸安顿下来。当静子在尾张藏身时,即使是朝廷的使者也很难与她接触。

朝廷が静子に対して三顧の礼を取ったのではなく、静子が朝廷の命を拝領した形式にしたいと言う思惑があった。

朝廷不是主动向静子三顾礼,而是有静子想以接受朝廷命令的形式为自己谋求利益的打算。

つまり朝廷の面子を保つため、静子は上京して使者を待っているのだ。既に信長と密約を交わしているため、対外的なポーズに過ぎないのだが信長は呆れながらも彼らに便宜を図るよう静子に命じていた。

换句话说,为了保持朝廷的面子,静子前往京都等待使者。虽然这只是对外的姿态,因为他们已经与信长达成了秘密协议,不过信长仍然命令静子照顾他们,尽管他对此感到失望。

「ようこそ義姉上(あねうえ)、ご機嫌麗しゅうございます」

"欢迎姐姐,您好心情美丽。"

朝廷と接触する機会を更に増やすべく、静子は近衛邸に滞在している。早速前久(さきひさ)と会談を持とうとしたのだが、厄介な相手につかまってしまった。

为了进一步增加与朝廷接触的机会,静子留在近卫邸。她立即试图与前久会谈,但却被一个麻烦的对手缠住了。

静子を義姉と呼ぶ少年の名は近衛(このえ)信伊(のぶただ)という。前久の実子であり、史実に於いて関白相論(かんぱくそうろん)と呼ばれる朝廷内の人事抗争を引き起こし、秀吉が公卿(くぎょう)を差し置いて関白に就任する口実を与えてしまった。

称呼静子为义姐的少年名叫近卫信伊。他是前久的亲生儿子,在历史上引发了被称为关白相论的宫廷内人事斗争,为秀吉提供了越过公卿就任关白的口实。

これにより七百年にも亘って維持してきた摂関家の伝統を一夜にして潰したとして公家社会から孤立し、やがて心を病み酒浸りになった挙句に薨去(こうきょ)した人物である。

据说这个人在一夜之间摧毁了摄政家族700年的传统,因此从公家社会中孤立起来,最终导致心理崩溃并过度饮酒,最终去世。

今世に於いても当初は前久の後を継いで関白を目指していたのだが、そんな彼の興味を惹き付けてやまない人物がいた。

如今,他起初继承前久的位置,立志成为关白,但有一个吸引他注意力的人。

「此度はまことにおめでとう存じます」

「此度はまことにおめでとう存じます」的简体中文翻译为:“此时此刻,我真心诚意地祝贺您。”

「……念のために伺いますが、何が目出度いのでしょう?」

「……为了确认,我问一问,究竟什么是喜庆的事情?」。

「それは勿論、義姉上が久々に御出陣されることについてでございます」

“当然,这是关于姐夫夫人长时间未出战即将出战的事情。”

きらきらと目を輝かせて断言する信伊に静子は嘆息するしかなかった。信伊は幼少より父である前久について地方で暮らしていたため、公家よりも武家の人間と付き合うことが多かった。

信伊目光炯炯地肯定地说着,静子只能叹息。信伊从小就跟随父亲前久生活在乡下,与武家人交往比与公家人更多。

その方向性は前久が信長と昵懇(じっこん)の間柄になって以降、更に顕著になっていく。そんな中で前久から猶子(ゆうし)として静子を紹介され、立身出世の見本市であるかのような彼女の生き様に強い憧れを抱くようになった。

那个方向性是自前久成为信长的熟人之后更加明显。在这样的情况下,前久向她介绍了静子作为收养孩子,并对她那种充满成功奋斗的生活方式产生了浓厚的憧憬。

「私自身が出陣するような事態は喜ばしくないのですが……まあ良いでしょう。義父上をお待たせする訳にも参りません、一緒に来ますか?」

“虽然我自己出征这样的情况并不令人高兴……但好吧。我不能让我的岳父等太久,你和我一起来吗?”

「是非に! 父上からは同席の許可を頂いておりまする。お供いたします!」

「一定要同行!已经得到了父亲的允许。我会陪同您的!」

信伊の言葉に静子は軽く眩暈(めまい)がする思いであった。前久の私室に向かう道中、静子は信伊から質問攻めにあっていた。

信伊的话让静子感到头晕目眩。在前去久之的私人房的路上,静子一直遭受信伊的质问。

信伊がただの子供であったならば、微笑ましいで済む話なのだが、彼は僅か十二歳という年齢にかかわらず既に多方面に対して大人顔負けの才を発揮している天才であった。

如果信伊只是一个普通的孩子,这可能只会是一个令人微笑的故事,但是尽管他只有十二岁,他已经展现了成人所具备的才华,并且在多个领域都是天才。

それゆえに彼の質問は微に入り細を穿つものであり、静子をして返答に苦心させられるため、静子は会談前から疲労感を覚えていた。

因此他的问题非常仔细,让静子陷入苦思冥想的困境,所以静子在会议之前就感到了疲倦。

(今は軍事に傾倒しているけれど、これでいて書道に和歌、絵画に音曲(おんぎょく)といった文化面にも優れた才を示すんだから天才って残酷だよね)

(虽然现在偏爱军事,但仍展现出在书道、和歌、绘画和音乐等文化领域方面都拥有卓越才能,这就是所谓的天才残酷之处)

史実に於いて信伊は「寛永の三筆」に数えられるほど書道の才を示した。因みに残る二人は本阿弥(ほんあみ)光悦(こうえつ)と、松花堂(しょうかどう)昭乗(しょうじょう)である。

历史上,信伊展示了卓越的书法才华,被称为“宽永三笔”之一。其余两人为本阿弥光悦和松花堂昭乘。

彼ら三人は平安時代などの古筆より、新しい書法へと昇華させた。これにより日本の書道史は記録よりも表現を重視した、近世書道の幕開けを迎えたとまで言われるようになっている。

他们三个人把平安时代以及其他古代的书法从一种新的书法方法昇华了出来。因此,日本的书法历史开始更加注重表现而非记录,这被称为近代书法的开端。

現時点に於いてすら書道の才を遺憾なく発揮しているのだが、本人にしてみれば手慰みでしかない。更には静子のような一時代を切り開ける存在を目標に掲げているため、目指すところが高すぎて他者からの評価を頑として受け付けない。

目前,他已经完全展现了他的书法天赋,但对他本人来说,这只是一种慰籍。此外,他的目标是成为像静子一样开创一个时代的存在,因此他的目标太高,不愿意接受他人的评价。

彼の悪意無き態度によって筆を折った人間はかなりの数に上っていた。

他们因他无恶意的态度而停止写作的人数相当多。

「お疲れのようだな、静子殿」

似乎有点累了,静子殿。

静子を室内に招くなり、開口一番前久は静子を労った。彼女が疲労している原因は、彼女に付いて回っている己の息子にあることは明らかである。

请勿邀请静子进入屋内。前久一开口便关心静子。她的疲劳原因显然是因为她的儿子一直跟在她身边。

「やり取りを交わす度に、質問がより高度になっていくので参ります」

每次交流,问题都会变得更加高级,令人头疼。

「ほどほどであしらってくれれば構わぬよ。さて、此度の件について認識をすり合わせよう」

“只要适可而止地处理就行了。那么,我们来协调一下这个问题的认识吧。”

前久が居住まいを正し、静子と信伊もこれに倣った。とはいえ事前に情報を共有しているため、認識に齟齬(そご)が無いかを確認し合うことが主である。

之前,久和正式居住,静子和信伊也效仿了他。不过,因为他们事先共享了信息,所以主要是相互确认没有任何认知上的偏差。

「今回の一件、裏で手を引いていたのは九条、二条、一条家辺りでしょう?」

“这次事件背后操纵的可能是九条家、二条家、一条家等人吧?”

一切の躊躇(ちゅうちょ)なく信伊が爆弾発言を投下する。既に裏が取れているため、間違ってはいないのだが明け透けに発言するところが迂闊だと静子はため息を吐いた。

信伊毫不犹豫地投下了炸弹言论。虽然这已经被证实是正确的,但静子还是为他果断的发言而叹息。

「すみませぬ。既に口にしてしまった以上、重ねてお訊ねしますが間違っておりましょうや?」

"不好意思,请再确认一下,我已经说出口了,但是可能是错误的。"

「(直感のみで本質を掴む、天才の怖さだね)いえ、合っています。鷹司(たかつかさ)家は我ら側に立っていますので、残り三家のいずれか、悪くするとその全てが結託して画策したのでしょうね」

「只凭直觉抓住本质,真是天才的恐怖啊。」 「不,你说得对。因为鹰司家站在我们这一边,所以剩下的三家中,如果有谁做得不好的话,它们可能会联合起来策划阴谋。」

「お前は正解を見出しても、そこに至る背景を押さえておらぬ様子。それでは正鵠を射たところで足を掬われるぞ」

即便你找到了正确的答案,但并不了解到达该答案的背景,那么即使命中正骨,也会被绊倒。

「はっ! 申し訳ございません」

"哈!非常抱歉"

前久から叱責を受けて信伊は項垂(うなだ)れた。天才であるが故に余人には理解しえない結論に至るのだが、何故そこに至るかの過程を説明できないのでは宝の持ち腐れとなる。

从前起,信伊就被指责得低头不语。由于拥有天赋,他能够得出其他人无法理解的结论,但如果无法解释到达那个点的过程,那就会浪费天赋。

世の大多数は凡人であり、結局のところ凡人に理解し得ない論理の飛躍が世に受け入れられることは無いと前久は説いたのだ。

大多数人都是凡人,无法理解凡人无法领会的逻辑跃迁,前久曾阐述这一点,这种逻辑是不可能被接受的。

「失敗は若人の特権です。この失敗を糧(かて)に次に活かせば良いのです」

"失败是年轻人的特权。如果能从这次失败中学到东西,就能利用它在下一步中。"

「義姉上!」

"义姐上!"

「何故失敗したのか反省しないまま進むのはいけません。貴方はそこを怠りがちなので、努々(ゆめゆめ)忘れないようにしなさい」

“不可以继续前进而不反省失败的原因。你经常在这方面偷懒,所以务必不要忘记。”

憧れの静子が助け舟を出してくれたと勢い込んで顔を上げるが、そんな信伊に静子は容赦なく現実を突きつけた。

仰起头来,由于憧憬的静子给了他援手,他感到非常兴奋,但静子无情地让他面对现实。

「うう……義姉上が厳しい」

"唉......义姐姐很严厉"

「厳しいぐらいで丁度良いのです。確かに教如の背後には例の三家がいると思われます。財力的にも権力的にも朝廷主導の和睦に反対する勢力を、あれだけの数、囲い込める余裕が他にはありませんからね」

“严苛到适当的程度正好。确实,我认为在教如的背后有着那三家势力。从财力和权力上来看,没有其他能够包容那么多反对朝廷主导和谈的力量。"

追い詰められた教如であっても、流石に勝算なしであのような暴挙には出まい。これに関しては静子も前久も考えを同じにしている。

即使被追逼到了绝路,教如也不可能毫无胜算地采取那样的暴举。静子和前久对此也持有同样的看法。

今回の騒動に於いて、まず本願寺を占拠できるほどの僧兵たちを養えるだけの勢力と言えば限られており、消去法的にも件(くだん)の三家に絞られてくる。

在这次事件中,仅有少数具备能够占领本愿寺的僧兵并养活他们的实力。可以通过消去法来锁定相关的三家。

そもそも現時点で朝廷の威光は武家が持つ武力を背景に成り立っている。己が寄って立つ土台を攻撃するなど自殺行為でしかないのだが、それでも武家の朝廷介入を排除せんと強行できる者となれば片手で足りる。

首先,目前朝廷的威望是建立在武力强大的武家背景上的。攻击自己的支撑者只会是自杀行为,但如果有人坚持要排除武家对朝廷的干涉,也只需要片手即可做到。

同じく宗教関連で仏家の関与も考慮したのだが、世の景気が上向いているときは宗教の求心力は失なわれるため早々に候補から外れた。

考虑到同样涉及宗教,但当经济形势好转时,由于宗教的凝聚力下降,佛教家被早早排除在候选人之外。

「例の御三家ですが、密偵を放って調べたところ面白いように証拠が集まりました」

“关于那三大家族,我们派出密探进行调查,收集了很多证据,非常有意思。”

「それらは何処(いずこ)に?」

"它们在哪里?"

「現物の写真を撮って証拠を保全した後、元の場所に戻しておきました。その後、写真を元に精巧な贋物(にせもの)を作り、完成次第順次本物とすり替えております。八割方終わっていますが、あと少し時間を頂ければ全てが手許に揃うでしょう。写真自体がそれほど知られていないため、証拠能力を疑われては面白くありませんからね」

「拍摄现场照片以保全证据后,将其放回原处。随后,以照片为基础制作精美的仿制品,并逐步完成真伪替换。已完成大部分,只需要再稍等片刻即可全部完成。由于照片本身并不为人所知,因此不能被怀疑其证据能力。」

静子はそういうと小姓に合図して重量感のある木箱を持ってこさせた。静子は木箱の中より、何枚かの書状を取り出すと前久に差し出す。

静子这样说着,便向侍从示意让他拿来一个有重量的木箱。静子从木箱里取出几封书信,递给了前久。

受け取った前久はそれらをざっと流し見て、相手を攻撃するに足る証拠として十分であると確信できた。

接到前久大致浏览了这些内容,确信它们足以作为攻击对方的充分证据。

「血判状か。互いに裏切る可能性を排除しきれぬ辺りが、利害のみで結びついている輩の泣き処よな」

"这是血誓吗?那些只因利益结合在一起而无法完全排除背叛可能性的人是可悲的。"

「お陰で証拠集めが楽でした。しかし、まんまと踊らされている教如も哀れですが、このように稚拙な絵図で自作自演を企むとは……」

"多亏了这个,证据收集变得轻松了。但是,被成功愚弄的教如也很可悲,使用如此幼稚的手法自导自演……"

「自作自演ですか?」

「自作自演ですか?」 translates to "你自导自演的吗?" in Simplified Chinese.

「そうです。武家による日ノ本統一が気に入らぬ御様子で、朝廷の威光は衰えぬと世に知らしめるために画策したようですね。明らかに時流が読めていない上に、仮に成功したとて後が続かないのでは意味が無いでしょう」

“是的。看起来他不喜欢武家统一日本,为了展示朝廷的权威,策划了这个。显然他没有读懂时代潮流,即使成功也没有后续,这是没有意义的。”

現時点に於いて信長に反抗する公家は限られている。信長は決して朝廷を蔑(ないがし)ろにしておらず、朝廷の権威を盛り立てた上で共存の方針を打ち出している。

目前,反抗信长的官员数量有限。信长并不鄙视朝廷,而是在维护朝廷的权威之上提出了共存的方针。

実質的に信長が朝廷の運営に経済面で巨額を出資している以上、彼の意向を無視できないのは仕方ないのだが、それを良しとしない者は一定数存在する。

实际上,既然信长在经济上向朝廷投资了巨额资金,他的意图是不容忽视的,但仍然有一定数量的人不认为这是好事。

かつての栄光を忘れられず、感情的に信長の台頭を面白く思わない公家達が結託したのが今回の騒動だ。

曾经的辉煌令公家们无法忘怀,他们在情感上反感信长崛起,这次骚动就是他们的联合行动。

とは言え武力で信長に敵うはずもなく、経済的にも比べるのも烏滸(おこ)がましい程に差が存在する。そんな信長の面目を潰すべく考え出された苦肉の策が、織田家と本願寺との和睦を潰すことであった。

然而,尽管如此,豐臣秀吉没有武力超过信长的能力,而且在经济上也存在着巨大的鸿沟。為了破坏信長的名声,他们设法采用了激烈的措施,即摧毁織田家和本願寺的休战协议。

その後、おっとり刀で駆けつけて問題を解決して見せることで恩を売る、所謂(いわゆる)マッチポンプを画策したというのが今回の本質である。成功すれば信長の影響力を幾らか削げるかもしれないが、根本的な構造改革に寄与しない愚策であった。

后来,通过用沉着的态度赶来解决问题,以期获取恩惠,那就是今天所谓的“名为投桶者自扇耳光”,这是本次事件的核心。如果成功,可能会稍微削弱信长的影响力,但这是一项不会为根本性结构改革做出贡献的愚蠢计划。

「教如を焚きつけて本願寺を乗っ取り、その後公家主導にて官軍を編成して教如を本願寺から追い払う。首謀者たる教如自身は口封じとして始末すれば後腐れもないという手筈だったのでしょうね。どうにも牢人が思うように集まらないようで、未だに討伐軍を編成できないようですが」

"教如被点燃,控制了本愿寺,然后以官家主导组建了官军,将教如驱逐出本愿寺。教如作为首谋者,他本人将被消灭,以防后患。看起来牢犯无法如预期般聚集,尚无法组成讨伐军。"

「集まらないのは自明なのだが、京に籠っているとそこまで世情に疎(うと)くなるものか」

“虽然不集结也是自明的,但在京城里闭门造车会让人变得疏远世情。”

前久はそう呟くと、静子をチラリと見やった。近畿から中部地方にかけての一帯では、牢人を集めて軍を編成しようなどとは夢物語に等しい。

之前久这样嘀咕着,扫了一眼静子。在近畿到中部地区的一带,收集犯人组织军队这样的事情也只能是白日做梦。

何故なら織田領が全世界を見渡しても類を見ないほどの勢いで土地開発を行っており、土木工事用の重機が導入されてはいるものの人足の需要は引きを切らない。

因为織田领土开发的势头在全世界范围内都是无与伦比的,尽管引进了土木工程机械,但对人力的需求却没有减少。

更には出稼ぎ労働者に対する福利厚生も充実しており、利息の無い前借りとして衣食住を整える支度金も渡されるため、周辺地域は言うに及ばず遠地よりの出稼ぎ労働者が押し寄せている状況だ。

此外,富有福利保障的外来务工人员,可获得无息预支的衣食住支援金,并成为周边地区甚至远方的外来务工人员涌入的情况。

牢人として命懸けで戦うよりも、安全な肉体労働で安定した賃金を得る方が良い。そう考える者が多いため、どうしても大金が即座に必要という状況でも無い限り牢人のような不安定な生活を好むものは少ない。

作为牢房里的人,与其冒着生命危险战斗,还不如通过安全的肉体劳动获得稳定的工资。因为许多人都这样想,所以在不是迫切需要大笔钱的情况下,很少有人像牢房里的人那样喜欢不稳定的生活。

「今ごろは教如も焦っているでしょう。予定では例の三家による息の掛かった官軍と適当に戦って敗走し、後は隠遁(いんとん)生活を保障して貰う手筈だったのでしょうからね」

「现在教如也应该很焦急了吧。按计划,他们应该是和三家的官军展开激烈的战斗,然后落败逃跑,最后保障隐居生活。」

「全てが裏目に出て八方塞がり、焦らぬ道理がない。今ごろ必死になって神仏頼みをしておるだろうよ。信仰が試されるというものだ」

“所有的事都出现了困难,陷入了困境,没有放慢速度的理由。现在,他们可能会绝望地祈求神明的帮助。这是信仰得到考验的时刻。”

「間者に拠れば『私には神仏の加護があり、敵の矢も鉄砲も当たらない』と嘯(うそぶ)いているようです。門徒が信じているかは判りませんが、折角なので教如の言葉を利用させて貰いましょう」

“根据间谍的说法,他在吹嘘自己有神佛的庇护,敌人的箭和枪都无法击中他。虽然不知道门徒是否相信,但既然有机会,就让我们借用教如的话来利用他们。”

「ふふ。いつになく悪い顔をしておるな、教如も判断を誤ったものよ」

“呵呵。你现在脸色这么糟糕,教如也是误判了啊。”

前久は静子の言に薄く微笑みながら相槌を打つ。すっかり温くなってしまったお茶を一口啜(すす)ると、物憂(ものう)げに呟いた。

之前的久轻笑着点头,对静子的话语做出应答。他一口喝下已经冷了的茶,沉思着低语道。

「思えば教如も哀れなものよ。あ奴は最期まで周囲に利用され流され続けた人生を送るのだろう。己だけが自分の意思を貫いていると信じているのが余計に哀れでならぬ」

“回想起来,教如真是可怜之人。她的一生都被周围的人利用和操纵着,直到最后。而她却仍然认为自己是唯一坚持自己的意志的人,让人不禁感到哀怜。”

静子は前久に対朝廷工作費用を渡すと、上京(かみぎょう)にある自身の京屋敷へと移動した。彼女はそこでゆっくりと体を休めた後、間者から報告を受けたり様々な指示を出したりしてから再び近衛邸へと戻る。

静子将对朝廷的工作经费交给了前久,并搬到了位于上京的自己的京屋敷。在那里,她休息了一段时间,接收了间谍的报告并发布了各种指示,然后再次返回近卫家。

静子の京屋敷では彼女直属の兵が周囲を警備しているため、たとえ朝廷からの使者であろうとも事前に通告の無い者は面会できない。朝廷としてはあくまでも前久主体であり、静子はそのおまけという位置づけを貫かねばならないため勅使(ちょくし)を立てたり、先触れを遣わせたりすることも出来ないのだ。

静子的京屋敷由她的直属士兵守卫,即使是来自朝廷的使者,如果没有事先通告就无法见面。朝廷始终以前久为主,静子必须维持其附带地位,因此无法派遣勅使或使者进行接触。

面倒だとは思いつつも、静子は朝廷の面子を保つため接触を図り易い近衛邸に極力滞在するようにしている。そしてついに朝廷より勅使が遣わされ、前久に本願寺鎮撫(ちんぶ)の命が下された。

尽管觉得有些麻烦,静子为维护朝廷的面子而尽可能地待在易于接触的近卫邸。最终,朝廷派遣了勅使,并下达了镇抚本愿寺的命令。

「私から静子殿に依頼する分には、朝廷として関与しないという姿勢を貫くのだろうな。全く迂遠(うえん)なことだ」

“如果是我向静子殿发出请求,他们可能会坚持不让朝廷介入,这真是一件非常愚蠢的事情。”

建前が重要視される公家社会の柵(しがらみ)に苦笑しつつ前久は肩を竦(すく)めた。朝廷としては関白である前久を官軍の総大将とし、前久の裁量によって静子を動かす事を暗に認めている。

前久苦笑着对公家社会重视形式的束缚耸了耸肩。朝廷认可了将前久作为关白并让他担任官军总指挥,间接承认前久可以动用静子来掌握局面。

しかし、前久もただでは利用されてやらない。今回の官軍編成にあたって、動員する顔ぶれは前久に一任するとの言質を得ている。朝廷としては静子を官軍に引き入れるための方便として使えという思惑なのだが、これは朝廷の名の下に誰であろうと(・・・・・・)動員できる事を意味する。

然而,前久不会无偿利用。他已经获得了一个承诺,在组织这次官军编队时,调动人员的选择将由前久独自负责。朝廷的意图是利用这个机会将静子引入官军中,但这实际上意味着朝廷可以动员任何人来参加这个行动。

腹に一物を抱えながら笑みを浮かべた前久は、入念に下準備を進めた。数日後、上京の一角に黒山の人だかりが出来ていた。本願寺教如を征伐する官軍が出陣すると知らされ、皆が一目見ようと集まった結果であった。

腹中怀着不可告人之物,前久露出了微笑,并认真地准备着。数日后,在京城的一个角落,人群中涌现出黑山的身影。他们聚集在一起,想要一睹征讨本愿寺教如的官军的盛况。

織田家の勢力下に組み込まれて以来、京では武家の甲冑姿を目にする機会が増えた。逆に公家の正装である束帯(そくたい)(公家の男子が身に纏う衣装)は滅多に見られないため、物珍しさから見物人が増えたという経緯がある。

自从被纳入织田家的势力范围以来,京都看到武士甲胄的机会不断增加。相反,束带(公家男子穿的装束)这种公家正装很少见,因此因为新鲜感吸引了更多的观光者观看。

公家達も京の民たちから注目を集めると思ってか、皆がめいめいに気合を入れて束帯を着こなしている。目にも鮮やかな衣装が並ぶ中、一際目立つ存在があった。

公家们也注重京都的民众的关注,每个人都穿着束带,充满斗志。在这些鲜艳的服装中,有一个明显突出的存在。

五摂家筆頭である近衛家の家紋『近衛牡丹』が染め抜かれた旗を棚引かせ、周囲のそれと比べても一層華美な束帯を身に纏った少年の姿がある。

五摄家之首的近卫家家徽“近卫牡丹”染制旗帜垂挂,身着比周围更加华美的束带的少年显得格外华丽。

一般の公家に付く護衛は数名なのだが、その少年の周囲には完全武装の武士が数十名も配され、猫の子一匹近寄る隙すら無い有様だった。その物々しい雰囲気に威圧され、他の公家からは遠巻きに眺められる様子を見て、信伊は嘆息した。

一般的公家护卫只有几个人,但那个少年周围却有十几名全副武装的武士护卫,连只猫都无法靠近。信伊被这股强烈的氛围所压倒,看着其他公家望而却步,只得叹息。

「見世物にでもなっている気分です」

“我感觉自己像是成了一件展品。”

「仕方ありませんよ、此度の官軍を率いるのは貴方なのですから。警備が物々しいのは当然です。官軍の総大将が京で討たれたなどとあっては、近衛家末代までの恥になりますからね」

“无可奈何,由于您率领官军,所以严格检查是必要的。如果官军的总司令在京城被击败,那将成为近卫家族的耻辱,一直持续到末代。”

「重々承知しておりまする。しかし義姉上、何もその様な古めかしい衣装を選ばれずとも……」

“我已经深刻意识到了。但是,既然您是我义姐,就算不穿那样古老的服装也……”

「趣味です」

"这是我的兴趣爱好"

信伊が苦笑するのも無理は無かった。静子は特例中の特例として、女人の身でありながら公家男子の正装である束帯を纏っている。それも平安時代に流行していた時代がかったものであり、周囲の公家達から浮いて見えた。

信伊无法不苦笑。静子身为女性,却身着法家男子的正装束带,这是特例中的特例。而且这种束带还是平安时代的流行款式,看起来很过时,让周围的官员们都对她有些异样的眼光。

何故そのような大時代的な衣装を着ているかと問われれば、わざと目立って彼ら(・・)の神経を逆撫でするためである。本来、束帯とは公家男子の正装であり、猶子を結んだとは言え静子に与えられることは無い。

若被问为何穿上如此大时代的衣装,那是为了故意引人注目,逆着他们(・・)的神经。束带本是公家男子的正装,就算是成为静子的养子,也不应该被赐予。

普段は目立つことを嫌う静子が、敢えて耳目を集めるような真似をする意図はここにある。

平时讨厌引人注意的静子,这次却有特意要吸引眼球的意图。

「さて、彼らは見て(・・)いますかね? 折角、方々手を尽くして彼らの宝物を探し出したのですから、慌てて貰わないと困るんですけどね」

“好了,他们看见了吗?我们尽了全力寻找他们的宝藏,所以他们不能慌乱。”

静子は腰に佩(は)いた太刀の柄頭(つかがしら)をポンポンと軽く叩きながら呟いた。彼らとは勿論、九条・二条・一条家の手の者となる。公家による官軍の編成ということで、彼らの家からも何人かは参陣している。

静子手拿腰刀,不停地轻敲着柄头,喃喃自语道。他们自然而然地成为九条家、二条家、一条家的手下人。作为公家组织的官军编制,一些人也参加了他们家的行列。

とは言え派兵された者は嫡流ではあるものの末席に近い者であり、明らかに数合わせとして遣わされている。何の権限も自由をも与えられていないため、官軍の列内所定の位置から動こうともしない。

然而,被派遣出去的人雖然是正統派,但更靠近末位,明顯是用作填補人數。由於沒有任何權力和自由,因此不會從政府軍隊所指定的位置移動。

「敵意のこもった視線を感じますので、何処からか見ているのでしょう。ただ義姉上の太刀が『藤原三宝』の一つと気付くか否か……」

「感觉到充满敌意的目光,可能是从哪里看着我们。只有义姐的太刀是否能认出『藤原三宝』之一......」

「義父上を含め色々な方に尽力して貰ったのですから、気付いて貰わねば割が合いません」

“我们得到了包括继父在内的许多人的帮助和支持,如果不让他们意识到我们的感激之情,就不公平了。”

信伊の言う『藤原三宝』とは公家の名門中の名門である藤原氏伝来の宝物を指す。その名の通り三つを数え、一つを藤原(ふじわらの)鎌足(かまたり)(藤原氏の始祖)の肖像画『大織冠(たいしょっかん)の御影(みえい)』、一つを惠良(えりょう)和尚(かしょう)筆の『紺紙(こんし)金泥(こんでい)の法華経(ほけきょう)』、そして最後が『小狐の太刀』である。

信伊所说的“藤原三宝”是指藤原家族传承的宝物,这是公家中最显赫的家族之一。正如其名称一样,这“三宝”包括藤原鎌足(藤原家族的创始人)的肖像画“大织冠之御影”、惠良和尚所书写的“紺纸金泥法华经”以及“小狐之刀”。

史実に於いては藤原頼長(よりなが)が小狐の太刀を佩いて、千百五十二年八月に石清水(いわしみず)八幡宮(はちまんぐう)を詣でたという記録が残っている。その後、九条家に伝来するも鎌倉時代前期に失われ、後に鷹司家に伝来したとされるが、これも鎌倉後期に失われている。

历史记录中记载藤原依长曾佩戴小狐之太刀于公元一千五百五十二年八月参拜石清水八幡宫。此后传至九条家,但在鎌倉时代前期遗失,后又传至鹰司家,但同样在鎌倉时代后期遗失。

その後は、とある寺所蔵となっていたのだが紛失して行方不明とされていた。史実に於いては明治期に九条家が買い戻したとされているが、果たして本物の小狐の太刀であったか定かではない。

之后,它变成了某座寺庙的藏品,但后来失踪了。据史实,九条家在明治时期买回了它,但不确定它是否是真正的小狐之太刀。

それというのも小狐の太刀は同名の刀が複数伝わっており、更には影打ちまでもが存在している。そのため、静子が現在佩いている『小狐の太刀』も真作である保証はない。何しろ小狐の太刀は誰の手によるものか不明なのだ。

而且,小狐的太刀同名刀已经传播了多把,甚至还有影打刀。因此,无法保证静子现在佩戴的“小狐太刀”是真正的作品。毕竟,小狐太刀是由谁制造的仍是不明确的。

(影打ちとされる物も回収したし、出来得る限りの捜索はしたので本物と強弁するしかないね。太刀に九条家所縁(ゆかり)の物が添えられていたのは、盗んだ兄の子が真作の証拠として付けたとも考えられるか)

(已收回被视为影印的物品,并且进行了尽可能的搜索,只能强烈声明这是真品。可能认为加入九条家的关联品是被偷窃的兄弟的孩子作为真迹证据所附上。)

九条家から小狐の太刀が失われた理由は家督相続にある。鎌倉時代前期に九条家には二人の兄弟がおり、病で兄が家督を継げなくなったため、弟が継ぐことになった。

九条家失去小狐太刀的原因在于家督继承。在鎌倉时代前期,九条家有两个兄弟,由于疾病,哥哥无法继承家督,于是弟弟继承了家督。

しかしこの決定に兄の子が不満を持ち、ある時小狐の太刀を盗んで出奔(しゅっぽん)したとされている。

然而,据说这个决定让兄弟的孩子感到不满,有一次他偷走了小狐的刀子并出逃。

困り果てた九条家は、当時の名人に依頼して代わりとなる小狐の太刀を打たせた。以降、それを小狐の太刀として代用していた。今回静子の発見した小狐の太刀には、九条家の家紋が象嵌(ぞうがん)された懐刀が添えられていたため、恐らく本物であろうと推測している。

九条家无法处理该问题,因此请求当时的专家打造一把代替的小狐太刀。此后,他们将其用作小狐太刀的替代品。静子发现的小狐太刀上,嵌有九条家家徽的懐刀,因此可以推测它可能是真品。

(小狐の太刀を盗んで出奔し、どのような経緯で手放すことになったのか興味が尽きないところだけど、何にせよ今考えることではないかな)

(偷走了小狐的太刀并逃走了,虽然对于它是如何放弃的这一过程很感兴趣,但现在考虑这些也没什么意义了。)

いずれにせよ、今は目先のことに集中しようと静子は頭を振った。

无论如何,静子摇了摇头,决定专注于眼前的事情。

「さてさて、お荷物……いえ、お神輿(みこし)を担いで大坂へ向かいますか」

“那么那么,要背负行李……不,是要抬起神轿前往大阪吗?”

「言い繕えていませんよ、義姉上!」

“我并没有编造话,姐姐!” translated to Simplified Chinese is "我没有编造话,姐姐!".

「隠す気が無いですからね」

“我没打算隐藏”

「隠して下さい。義姉上のお考えは判りますが、父上も動き易くなりますからお荷物も連れて行きますが、いくさ場では案山子(かかし)にも劣りますよ?」

“请把它藏起来。我明白姐姐的想法,但是带上这个包裹会让父亲更容易被发现,在战场上,它连稻草人都不如。”

「いくさ場には出しませんよ。城を守らせる名目で詰めさせれば良いでしょう」

“不要让他参加战场。可以以保卫城池为名让他留守。”

「いくさ場に立つか、我々の指示に従うかであれば後者を選ぶでしょうね。あ、私は勿論どこまでも義姉上と共に参ります!」

若是在战场上或遵从我们的指示的话,我想会选择后者。啊,当然我会一直和义姐姐一起前进!

「義父上から大将に任じられていなければ、何処かの城に城代として残したんですけどね……」

如果我没有被我的岳父提升为将军,他本来会让我留在某个城市担任城代的……

「そんな! 義姉上、私はお役に立ちますよ!」

"怎么会这样!姐姐,我会尽我所能帮你的!"

静子は己の頬に手を当てて嘆息すると、信伊が諸手を挙げて抗議した。己が近衛家の跡継ぎであるという事実を、彼が忘れていることに静子は頭痛を覚える。

静子将手放在自己的脸颊上叹息,信伊则举起双手抗议。静子因为他忘记了自己是近卫家的继承人而感到头疼。

「元よりそれほど時間を掛けるつもりもないので、さっさと行って手早く片付けましょう」

“由于本来就没打算花太多时间,所以赶快去处理吧。”

自分の歓心を買おうとあれこれと話しかけてくる信伊をいなしながら静子は南方を睨んだ。

静子瞪着南方,一边赶走对自己说话讨好她的信伊。

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